北野唯我さん著書「転職の思考法」を読んでみました。
読んだ感想を一言で言うと「世界観が変わった」って感じですかね。「長年感じていたモヤモヤはこれか!」と私の心を分かってくれている良本に久しぶりに出会えました。
話もストーリー仕立てで読みやすく一気に読んでしまいました。
転職を考えている人は必ず目を通した方が良いと思いますし、今は転職を考えていない方もどの様に仕事に取り組めば良いかも書かれておりますのでご覧になられたらと思います。
また就職活動を行う学生さんにもどの様な会社を選ぶべきかや入社してからの心構えも記載有りますのでお勧めです。
あらすじ
主人公は30歳を迎えた青野。彼は特別な専門性もなく大きな組織を率いた経験もなし。
ましてや他者を圧倒する才能もなしと無いもの尽くし。
加えて会社の状況も芳しくなく出世コースは先細りし業績が伸び悩んでいて、優秀なやつから先に辞めていく状況。
そんな状況である事から「転職」も考えるが、就活も苦労の末に入った会社であるため
モヤモヤが増すばかり。
そんな中、企業再生で名を馳せる人物黒岩に出会う。
そんな彼から20代から50代まで仕事で食べていく上で必要なキャリアの考え方が詰まっている『一生食べていくための方法論』(転職の思考法)を授かる。
果てして転職は成功するのか?
本の構成
- プロローグ
このままでいいわけがない。だけど・・・ - 第1章
仕事の「寿命」が切れる前に、伸びる市場に身を晒せ - 第2章
「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない - 第3章
あなたがいなくなっても、確実に会社は回る - 第4章
仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか? - おわりに
プロローグ
冒頭に大企業で働く40代エリートサラリーマンの悲惨な結末が書かれており
それが妙に生々しく、現在の私と重なる部分があって寒気がしました。特に
大企業でなんとなく20年働いてきた人が、業績不振により、早期退社を選ばざるをえなくなる・・・。なんとか、生活水準を落としたくない。そう思って必死に転職活動する彼ら。しかし、うまくいかない。
この文章はグサッと心に刺さりました。なんか未来の私の事が書かれているようで・・・。
私もなんとなく20年働いてきた感じですし、会社の業績も芳しくありません。
なんか不安・・・。
第1章 仕事の「寿命」が切れる前に、伸びる市場に身を晒せ
ここではマーケットバリューの事が書かれており、上司を見て働くか、マーケットを
見て働くかで自分の力だけで一生食べていけるかが決まるとの内容が書かれております。
やはり自分自身を商品として考え働く事が重要のようです。
マーケットバリュー(市場価値)=技術資産×人的資産×業界の生産性
マーケットバリューがある人間には、自由が与えられる。好きなときに会社を
辞めることができるし、好きなところで働くことができる。だが、上司だけを
見て生きてきた人間に自由はない。一生、自分の上司の顔色を見て生きなければ
ならない。
私は当然後者であるため情けなく感じました。
上司の顔色を伺いながらやる仕事は当然面白みがなく、嫌悪感が募るばかりです。
まずは自分自身のマーケットバリューを知る事が大切とのことです。
第2章 「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない
転職の思考法を手にしたからといって、必ずしも、今の会社を辞めなくてもいい。個人の人生だ。正解はない。ただ、『辞められない』という思い込みの檻の中に閉じ込められたら、どんな人間も必ず自分に小さな嘘をつくとこになる
衝撃でしたね。転職の思考法を手にしても会社辞めなくていいのかと。
その代わり「いつでも辞めれる」という選択肢が対等な立場で相手と接する事が出来るとのことです。
転職が悪だというのは、新たな選択肢を手に入れる努力を放棄した人間が発明した、姑息な言い訳にすぎない。
そうですよねー。私もこの本に出合わなければ転職は悪と考えていたかも知れません。
やはりいくつになっても努力は必要だと感じました。
第3章 あなたがいなくなっても、確実に会社は回る
ここでは転職後期に生まれる「今の会社に残ってもいいかも」という考えが生まれる事が書かれておりました。
やはり悩みますよね。
今までこの会社で築き上げたものもありますしクソみたいな上司や先輩もいるけど、良い先輩や後輩そして気心知れた同期も沢山いるので
やはり残りたいと考える事もあると思います。
ただ黒岩さんは「答えはノーだ」と言われておりました。
転職する目的が「自分の力だけで一生食べていきたい」と考えているのであれば転職するべきであるとのことでした。
何事も迷いが生じたら原点に立ち返ることが大切なんでしょうね。
第4章 仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか?
ここではほとんどの人間は心からやりたいと思うことがなくても良いと書かれてました。
人間には2パターンいて
・to do(コト)に重きをおく人間:何をするのか、で物事を考える。
明確な夢や目標を持っている
・being(状態)に重きをおく人間:どんな人でありたいか、どんな状態でありたいかを重視する
ほとんどの人がbeing型の様でto do型の人が書かれた「心からやりたいことを持て」と言われてもピンと来ない若しくは成功しないのは両者の方法論が違うからの様です。
私も当然後者なのでホリエモンの様なことをしても成功しないのでしょうね。
being型の人間が仕事を楽しむために必要な条件も書かれておりましたのでそれは本書でご確認ください。
おわりに
「最終的に転職するような優秀なやつは、在籍しているときは、必死になって会社という『みこし』を担いでるわけでしょ。辞めるまではさ、一生懸命、会社を担いでくれる人材なのよ。でね、反対に、一生この会社にしがみつくぞ、みたいなやつはさ、おみこし担いでいるふりして、ぶら下がっているわけよ。人事部が大事にしなきゃいけないのは、ぶら下がっているやつじゃなくて、もしかすると3年後にいなくなるかもしれないけど、今必死に担いでるやつなんだよ。ほんとに担いでくれるやつだったら数年勤めてくれたら御の字じゃないの?そういうふうに人事部も考え方を変えないと」
私の会社も本当に多いのですよ。
ぶら下がっているやつが。やっぱり優秀な子はその姿に呆れて会社を去るのだと思います。
ある職場は優秀な子が次々と去って、残ったのはカスみたいな社員ってところも実際ありますからね。
考えただけでもゾッとします。
こういう事にならない、こういう事に巻き込まれないためにもポケットに辞表を忍ばせて働けるくらいのマーケットバリューを持ちたいものです。
まとめ
私は長年感じていたモヤモヤは
・偉くなればなるほど責任は重たいのだろうけど働かない。
・こいつ等のために汗水流して働いているのか。と思うことがある。
・上司のご機嫌とりをしないと良い仕事が回ってこない。
この長年感じてたモヤモヤの解決策が本書に書かれていて転職が当たり前の世の中になれば
人々も自分の価値を高めるために一生懸命働くし、その一生懸命働く人を引き留めるために会社も良くなろうと変わっていく
と書かれていて、なんか明るい未来を見た気持ちになりました。
またこの本は転職ありきの本ではなく必ずしも今の会社を辞める必要がないと書かれており、
この本に書かれている事を実践していけば、おのずと答えが出てくるなと感じました。
やはり何時でも会社を辞めれるという選択肢を持ったうえで会社と向き合うことが重要で
そのためにもマーケットバリューを高めることが必要であると思いますので、
転職を考えている方は勿論の事、就職活動を始めたばかりの大学生にも勉強になる良い本だと思います。
是非手に取って読んで頂けたらと思います。
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